被造物すべてが主にある「兄弟姉妹」

信仰の先達の一人としてアッシジのフランチェスコ(1182-1226)がいます。裕福な家庭に育ったフランチェスコですが、回心をしていきます。アッシジ郊外のサン・ダミアノの聖堂で祈っていたとき、キリスト像から「フランチェスコよ、行って私の教会を立て直しなさい」という声を聞き、またハンセン病を患っている人たちとの出会い、仕えるようになります。父親から猛反対されますが、フランチェスコは自分の父は「天の父のみ」として旅立っていくのです。

フランチェスコの働きから清貧の実践を大切にする「小さき兄弟団(フランシスコ会)」が生まれていきます。その晩年、病床で目が見えない状態で書いた神への賛美の詩が『太陽の賛歌』です。その一部を紹介します。

賛美されますように、わたしの主よ   姉妹である月と星とによって
あなたはそれらを清く貴く美しいものとして   大空にお造りになりました

賛美されますように、わたしの主よ   兄弟である風によって
また、大気と雲と晴天とすべての季節によって

これを通して、あなたはすべての造られたものらに  支えを与えてくださいます

フランチェスコは太陽・月・星・風・火などを兄弟姉妹と呼びます。フランチェスコにとって「兄弟姉妹」とは何か狭い人間関係ではありません。被造物すべてが主にある「兄弟姉妹」なのです。この「広がり」と「繋がり」を大切にしたいと願っています。

さらに、フランチェスコは肉体の死をも姉妹と呼び、永遠の命に至る希望を歌い上げます。信仰の先達たちが示すこの神の平和・平安を胸に刻んでいきましょう。(有明海のほとり便り no.183)