ソーシャルディスタンスではなくフィジカルディスタンスを

新型コロナウイルス感染拡大に収束の見通しが中々立ちません。このような状態で東京をはじめとする4都県は緊急事態宣言を政府へ発令を要請しました。何よりも<いのち>を守るために、積極的な経済支援を含めた対策が必要なことは明らかです。コロナ禍にあって、特に小さくされている<いのち>を覚えてお祈りしましょう。

感染対策のために日本でさかんに使われている「ソーシャルディスタンス」という言葉遣いに違和感を覚えています。単純に訳せば「社会的距離」となる言葉ですが、私たちにいま必要なことは「物理的距離(フィジカルディスタンス)」であって、「心理的距離」は孤立を招き問題を深刻化します。

例えば、「コロナうつ」を予防するために「温かいコミュニケーション」が欠かせません。あるいは、保育の現場で「心理的距離」を子どもたちと取るなんていうことはありえません。抱っこなどの身体的接触による愛着形成が最も必要なこの時期に、そもそも「物理的距離」を置くことすら至難の業です。

イエス・キリストの生き様は、重い皮膚病や障がいのために差別された人のところへと自分から飛び込んでいくものでした。様々な「ソーシャルディスタンス」を乗り越え、神さまの愛、救いを分かち合っていったのです。

感染拡大を防ぐために「物理的距離(フィジカルディスタンス)」を保ちつつ、「心理的距離」や「霊的距離」を縮めるための知恵が求められています。 2021年においても、イエス・キリストという確かな希望を抱きつつ歩んでいきましょう。(有明海のほとり便り no.191)