『信徒の友』・教団出版局を覚えて

『信徒の友』は1964年4月号が創刊の月刊誌で、今年60年を迎えました。日本キリスト教団には約1700の教会・伝道所がありますが、その多くの教会で『信徒の友』は読みつがれてきました。1966年4月から1968年9月にかけて、三浦綾子さんによる『塩狩峠』が連載され、後に新潮社等により出版され、映画化もされ、誰しもが知る三浦綾子さんの代表作品の一つとなりました。

そのような歴史を持つ『信徒の友』ですが、購読者数は減ってきているそうです。教会員数の減少と比例しているのでしょう。出版局の働きは『信徒の友』以外にも、書籍の出版も積極的にされていますが、経営状態はかなり厳しく、いまの教団にとって大きな課題の一つとなっています。また、そもそも牧師をはじめとして本を読まなくなったという現状も聞こえてきます。

そのような苦境の中において、教団出版局では『信徒の友』を大切に続け、さらに読みやすいものへと工夫をこらしていることが伝わってきます。書籍においても、『わたしが「カルト」に? ゆがんだ支配はすぐそばに』や、『LGBTとキリスト教 20人のストーリー』など、いま教会が向き合うべき課題を深く掘り下げている本を出されており、日本キリスト教団だけでなく、他教派や一般の読者からも読まれる出版を続けておられます。

昨日から取材に来て下さった編集者のIさんは、わたしが仙台の被災者支援センター・エマオに遣わされてすぐに出会いました。いまは、主に書籍の編集をされておられるのですが、わたしがここ数年読んで感銘を受けた教団出版局の本のほとんどはIさんが編集されたものです! 一人のキリスト者としても、とても尊敬するIさんとの再会に感謝しています。(有明海のほとり便り no.377)

いずみ愛泉教会

2012年春、わたし達が仙台に赴任した時は、まだわたしとHさんと1歳になる直前のBの3人家族でした。普段は被災者支援センター・エマオで働き、そして日曜日は家族みんなでいずみ愛泉教会に通わせていただきました。

特によく思い出すのが、「子どもの教会」です。毎週輪になって、礼拝堂に繋がる集会室で、子どもたちと礼拝を守りました。いま荒尾めぐみ幼稚園の合同礼拝も、輪になって行っていますが、その原型はいずみ愛泉教会の「子どもの教会」にあるのです。CSスタッフの「いくこりーな」が絵本の読み聞かせをしてくれる時、棒の先端に輪がついていて、絵本のどこに注目したらよいか教えてくれていました。「いくこりーな」は、障がい児教育の経験者でしたが、保育現場でも、いまだあれを越えるスキルに出会ったことがありません。「まもるさん」は自作の絵本を折に触れて読んでくれました。子どもの教会だけでなく、一緒に関わった被災地での子ども活動の際にも。あの絵が忘れられません。「ふだせんせい」は、子どもたちと全力で遊んでくれました。柏は「ふだせんせんせい」が大好きでした。見つけると走り寄っていき、手をつないでの逆上がりに何度も挑戦し、できるようになったのも「ふだせんせい」のお陰です。お連れ合いの「たきこさん」が暑い最中にタライを出してきてくれて、橅や同級生の穂岳くんを、「ほぼマッパ」で礼拝中に水遊びをさせてくれていました。キラキラ光る笑顔が目に焼き付いています。子ども達一人ひとりにどれだけの愛が注がれていたのか、今になって気付かされます。荒尾教会・荒尾めぐみ幼稚園で、子ども達とこの愛を分かち合っていきたいと願っています。

台風で再会が叶いませんでしたが、次の機会を作りたいと願っています。(有明海のほとり便り no.376)