『きみのお金は誰のため』

久しぶりの東京出張となりました。一泊ですので荷物はもちろん最小限にするように務めましたが、いつも(?)のごとく、リュックには本がギリギリまで入っていました。飛行機や電車での移動中はひたすら読みまくります。お陰様で、4冊近くの本を読み終わることが出来ました。その中に、田内学さんが書かれた『きみのお金は誰のため』がありました。とても話題になっている本で、多くの本屋に置いてあります。田内さんはゴールドマン・サックスという世界有数の金融証券会社でバリバリ働く中で、そこで矛盾を感じ、いまは社会的金融教育者として活躍されています。

NISAやFIREといった言葉に象徴される「投資」がいま注目されていますが、その前に、そもそも「お金」とは一体何なのか?、という問いに答えようとしている良著です。

優斗くんが年末に買ってきてくれたどら焼きを、二百円で手に入れたと感じるか、和菓子屋のおばちゃんが作ってくれたと感じるかの違いや。

“ぼくたち”の範囲がせまくて、おばちゃんが外側にいる赤の他人やと思えば、二百円で手に入れたと感じる。つまり、お金がすべてを解決したという感覚になる。しかし、“ぼくたち”の範囲が広がって、おばちゃんをその内側にいる仲間やと思えれば、おばちゃんが作ってくれたと感じる。

この“ぼくたち”の範囲は、知り合いかどうかではなくて、僕らの意識次第や。お金の奴隷になっている人ほど、この範囲はせまくなって、家族くらいしか入らへん。いや、家族も入らない人もいるやろうな。(pp.214-215)

わたし達は「お金の奴隷」になっているのでは?「お金」が万能だと思いこんでしまっているのでは?この本で与えられている問いかけは、どこかイエスの問いかけにも繋がっています。(有明海のほとり便り no.367)