金曜日の朝。出発前に終わらせないといけない仕事で頭が一杯だった。そんな時に限って、登園してきたAくんがモヤモヤしている。自分が遊んでいるおもちゃに、友達が触れただけで手が出る。クラスで過ごすのが難しかったのだろう、しばらくするとE先生と一緒に他のクラスへ遊びに来ていた。しかし、そこでもまた大声で友達に怒りをぶつけ、果ては手を上げたり、ものを引っ張ったりしていた。Aくんを抱っこして、二人になれる部屋へ。しかし、カンシャクが収まらない…。Aくんも僕も汗だくになってきた。
モヤモヤしていない時のAくんは、とても優しいし、楽しく遊ぶことが出来る。そしてお手伝いをよくしてくれる。そのことを思い出して、「Aくん、正門を閉めるお手伝いをしてくれない?」と聞いてみる。すると、カンシャクが少し収まり、「うん、いいよ」と答えてくれた。Aくんご希望のおんぶで、二人で正門まで行く。この頃にはすっかりカンシャクも収まっていた。あーでもないこーでもないと二人で言いながら正門を無事閉めると、何だか園庭が僕らを呼んでいた。おんぶのままでお散歩をすると、トンボやバッタ、蝶(おそらく蛾😉)、さらには空の上の飛行機を見つけて嬉しそう。
このままおんぶでもいいけれど、Aくんはもっと自由に遊ぶことが出来ることを知っている僕は二人で木登りすることを提案した。最初はゆっくり、でも段々しっかりした動きで登り始める。難しい箇所も、試行錯誤の末、新たなルートを見つけた。登った先のAくんの笑顔は最高だった。
木や自然は僕らのモヤモヤを受け止め、癒やしてくれる。「野の花をよく見なさい」(マタ6:28)と言ったイエスの言葉を思い起こした。(有明海のほとり便り no.426)