ありがとう!

「人生に悔いなし ありがとう!」

召天される日の午前中に、病床でMさんがホルダーに固定された紙に、書かれた言葉です。一週間前にご家族と話した際には、ICU病棟でしたが回復に向かっており、意識も回復し、さらには指先を使ってのコミュニケーションも出来ていると伺っていました。ICUから一般病棟に移られてすぐに病状が悪化され召されたそうです。ご本人はもちろんご家族にとっても急なことでした。しかし、いつかこんな時が来ることを、Mさんは薄々予感していたのでしょう。「ありがとう!」とご家族に向けて書き遺したのです。

Mさんは決して恵まれた生育環境ではありませんでした。生まれてすぐに実母が召され、妹も14歳の時に突然召されました。実父は、Mさんが小さい頃に再婚して家を出ていってしまい、祖父母に育てられました。さらには、14歳から10年間結核を患い入院生活を余儀なくされたのです。

けれども、まさにその入院中の19歳の時に洗礼を受けました。魂の孤独から一歩踏み出すことが出来たのです。以来、66年もの間、この荒尾教会の信徒として礼拝に出席し続けました。ご家族には何度も「教会葬でするように」と話して下さっていたそうです。

大切な教会の友を神のみもとへ送りました。また会えるその時を信じ歩んでいきましょう。Mさん、ありがとう。(有明海のほとり便り no.439)