仮設住宅でのクリスマス

この時期になるとよく思い出す「クリスマス」があります。仙台の被災者支援センター・エマオがほぼ毎日のように通わせていただいた、七郷中央公園仮設住宅でのクリスマス会です。その日は、まだ3歳だったBさんを連れて、二人だけで行きました。40名位おられた仮設住宅にお住いの方たちの中で、クリスチャンはたった一人だけ。ですので、クリスマス会といっても、キリスト教的なことはみんなで「きよしこの夜」を歌うくらいです。あとは会食や楽しいゲームなどが中心でした。

そんな中で、Bさんのことをとりわけ皆さんが喜んで下さったのです。ほとんど子どもがいない仮設であり、むしろ高齢者の方が多かったということもあります。Bさんが一生懸命讃美歌を歌うと、皆さんがすごく褒めて下さり、少し得意げな笑顔を振りまいていました。

ふと気がつくと、二人のおばあちゃんが、わたしにぎゅっと何かを握って来られました。見てみると、幾重にも折られた千円札でした。「子どものために使ってね」と下さったのです。もちろん断ったのですが、固辞されました。

クリスマス会を企画したのはわたしたちの方であり、被災者の方から何かを受け取るなんてことはまったく考えてもいませんでした。しかも、お二人とも津波で家族を失った方たちです。家も財産も失った方たちです。苦しい日々を過ごしておられました。しかしそのような中で、子どもの姿を見て喜び、思わずバックの中からお小遣いを下さったのです。

神さまから与えられた出会いの中で、宝物を分かち合う姿に出会いました。いまその姿を振り返るとき、あぁあれこそが本当のクリスマスだったと気付かされます。(有明海のほとり便り no.441)