『宣教の未来 五つの視点から』

教団出版局より、『宣教の未来 五つの視点から』という本が出版されました。5名の方たちがまったく異なる視点で宣教について論じています。

実は先週教区の委員会があった際に、著者の一人である深澤奨教師(佐世保教会)から近々出ることを伺っていたので、早速読みました。深澤教師は「教会のダウンサイジングと持続可能性」というタイトルで、九州教区教会協力委員会(教会同士の互助を呼びかけ運用する)の働きを通して考えたことを綴られています。

能楽師の話しが紹介されていました。能楽師の世界では、師匠から笛を引き継ぎますが、すぐにいい音は鳴りません。何年も稽古を積み重ねてようやくいい音が鳴るようになります。鼓の革も「この革は今は鳴りません。でも、毎日打ち続けて50年経てば鳴り始め、一度鳴れば600年は使えます」と言われたりするそうです。

これは能の世界のお話しですが、教会においても全く同じだと思いながら読みました。今はまだ良く鳴らない笛や鼓のような教会が、九州にはたくさんあるのではないでしょうか。伝道を始めてから50年経っても、100年経っても、思うような福音の音色を町に鳴り響かせることができない。でも、鳴らないかと言って吹くこと打つことをやめてしまったら、それが鳴り始めることは絶対にないのです。いい音を出すのは100年、いや150年後かもしれません。もしかしたら、わたしたちの代では成し遂げられないのかもしれない。そうであってもあきらめずに、信じて吹き続け、打ち続ける。次の代に引き継いでいく。それができるように互いに支え合い続けるのが、わたしたちの互助の働きだと思うのです。(p.58-59)

荒尾教会のような小さな地方教会が、それぞれの地で福音を高く鳴り響かせる時を信じ、互助献金を捧げていきましょう。(有明海のほとり便り no.239)