卒園式を終えて

毎年、卒園式の朝、先生たちが来る数時間前に、園を開け、換気を始めます。礼拝堂でも同じように準備を始めます。まだ誰もいない礼拝堂が本番に向けて祈っているかのようです。この静謐を味わえるのも、牧師園長に許された「特権」;)です。

めぐみ幼稚園の卒園式は少しずつ変わってきています。コロナ禍で対応しなければならないことも合わさって、いわゆる慣例には縛られず、子どもたちの思いを実現していくために工夫が施されるようになってきました。

例えば、壁面の飾り付けも、今回は先生ではなく、卒園児たちがつくりました。卒園式で何を歌うのか、そしてどの順番で歌うのかも、話し合いました。もちろん担任の先生たちも適宜加わりアドバイスしますが、こんなに子どもたち自らが話し合った卒園式は、はじめてです。家庭保育の影響もあり、全員が中々揃わなかった年長きりん組で、準備期間も短かったにも関わらず、自分たちの「名前の由来」もしっかり発表し、歌も大きな声で歌いました。

とりわけ嬉しかったのは、1月に遠方に引っ越したSさんもリモートで参加が出来たことです。コロナ禍がなければ、リモートで繋げるなんというアイディアは思い浮かばなかったはずです。子どもたちも大喜びでした。

卒園児のおばあちゃんが「こんなに温かい卒園式ははじめてです」と語って下さいました。卒園児のHさんは荒尾支援学校へと進学しますが、一年間サポートして下さったY先生が、式後の先生たちとのお茶の際に、「怪我なく過ごせたことが本当によかった。先生方のおかげです。」と涙ながらに話してくださいました。 教会幼稚園として拙い歩みのわたしたちを、確かに神さまが導いて下さっていることを、改めて味わうひと時となりました。(有明海のほとり便り no.252)