有明小学校入学式 保護者代表挨拶(抜粋)

12年前、宮城県東松島市にある「鹿妻」という集落へ行きました。東日本大震災による大津波によって百名近くの方達が亡くなった集落で、友達の結婚式があったのです。元避難所の公民館の駐車場ですから舞台も何もありません。がれきを運ぶトラックを持って来て、荷台の上に子どもたちが乗って合唱をしてくれました。

「ぼくらはみんな生きている、生きているから歌うんだ。ぼくらはみんな生きている、生きているからうれしいんだ」と聴いている内に、思わず涙がこぼれてきました。歌っている子どもたちの中には、津波によって家族や友だちが亡くなっていました。にも関わらず子どもたちが「ぼくらはみんな生きている!」と歌ってくれたのです。皆さんが「いま生きている」ということ、それだけでもう奇跡のようなこと、素晴らしいことなのです。どうかこの「かけがえのない命」を大切に、小学校生活を歩んでいって下さい。

6年前、宮城から引っ越してきたわたし達家族は、心細い思いでした。息子と一緒に有明小学校まで初めて歩いてきた時、道に迷いつつ到着すると、道端で当時の校長先生が温かく挨拶をして下さり、とても嬉しかったのを覚えています。人権教育を大切にする有明小学校らしく、温かく子どもたち一人ひとりと向き合い、励まして下さっていることに、感謝しかありません。

いま子どもたちや家庭の姿も、教育のあり方も変化する中で、先生方のご苦労は尽きないことと思います。どうか先生方ご自身の、心と身体そしてご家庭を大切にしていただければと願っています。

そのために、わたし達保護者も、先生方を孤立させるのではなく、共に悩み、共に励まし支え合いつつ、チームとして歩んでいきたいと願っております。6年間、子どもたちをどうぞよろしくお願いいたします。(有明海のほとり便り no.308)