雨の音や風の音が聞こえる

今日は花の日・こどもの日です。18世紀なかばアメリカの教会で、一年で最も多く花が咲くこの時期に、教会にそれぞれが花を持ち寄り、子どもたちの祝福を祈り、そして礼拝後その花を子どもたちがお見舞いに届けたことから始まりました。

けれども、いま子どもたちを取り巻く日本の社会環境は、決して祝福にあふれたものだけではありません。厚労省の報告によると、虐待による子どもの死亡事例は年間50件を超えています。心中による虐待死もここに含めると、もっと増えます。つまり、私たちが毎週教会に集い礼拝を献げ各々派遣されていくその間に、毎週一人以上の子どもが虐待によって命を奪われているのです。この現実を、忘れてはいけません。

虐待された子どもたちのためにシェルターを造った坪井節子弁護士が、『奪われる子どもたち』という本の中でこのように書かれていました。

子どもを決してひとりにしない、それと同時に支援する大人もひとりにしない。役割、機関は違っても傷ついた子どもに向き合う、弱い大人たちとしてしっかりスクラムを組もう。…どんなに試しても暴れても、このスクラムが崩れないとわかったとき、色々な仕方で子どもが心を開いてくれる瞬間がくるのです。拒んでいた食事を食べ始めたり、ぽつぽつ話を始めたり。「雨の音や風の音が聞こえる」とか「空ってきれいだね。初めて空見た。ずっと下向いて生きてきたから」と語る子がいました。

「雨の音や風の音が聞こえる」社会、小さな花の美しさが感じられる社会を、子どもたちと共につくり出していきましょう。(有明海のほとり便り no.164)