友人の有住航教師(下落合教会・農村伝道神学校)がカトリック月刊誌『福音宣教』7月号に寄稿しているのを知り、早速読みました。タイトルは『エキュメニズムの召命―出会い・対話・和解のために』。世界的なエキュメニカル(超教派)運動体「世界教会協議会(WCC)」の、ロシアによるウクライナ侵攻への対応についての詳細レポートです。WCCには日本キリスト教団をはじめ多くの加盟教団がありますが、その一つにロシア正教会があります。WCCはロシアによる武力侵攻の前から、「信頼に基づく対話によって問題解決がなされるよう呼びかけて」きました。残念ながらロシア正教会は、ロシアによる侵攻を支持し続けています。WCC総幹事代行のイオアン・サウカは、「毎週のように声明を発表しながら、ロシア―ウクライナ双方の大統領に電話をかけ、戦争の即時停止と対話による平和構築を訴えつづけ」ています。
WCCでも、ウクライナへの戦争を支持するロシア正教会をWCCから除名すべきという声が他の加盟教会から出され、その声は日増しに強まっている。WCCがロシア正教会に対してどのような態度を示すのか大きく注目されるなか、サウカは4月14日にインタビューに応えるかたちで、「WCCが加盟教会を排除し、破門し、悪者にすることは簡単だが、わたしたちはWCCとして出会いと対話のための自由かつ安全なプラットフォームを用いて、たとえ意見が異なるときでも、互いに顔を合わせ、耳を傾けるよう求められている。これがWCCの召命である」と、ロシア正教会を即座に除名する声に反対する態度を明らかにした。…WCCはあらゆる戦争および戦時性暴力に反対し、それを神学的に正当化することを厳しく戒め、同時に、平和と和解のために相手を排除するのではなく、対話をつづけていくことを自らの召命としてきた。(pp.22-23)
この対話にこだわる姿に、キリスト教会が進むべき道が示されています。(有明海のほとり便り no.269)