『Lessons In Chemistry』

わたしの趣味は読書で、隙間時間に読書することが何よりもストレス発散になるようです ; )。出張の合間に大きな本屋の近くを通る事があれば、真っ先に寄ることも。そうすると、やはり今まで出会ったのことのない作品に出会い心ときめくのです。けれども、ある時気付きました。日本の本屋さんに行って出会う心ときめく本は、100%日本語で書かれているものだと…。翻訳された作品も含め、日本語だけで十二分なのも分かっていますが、洋書の世界にはさらに広い大海原があります。残念ながら洋書コーナーが充実している大きな本屋さんがあるのは、大都市だけ。最近はネットで面白そうな洋書の情報を集め、ネットで発注するようにしています。日本語で読むよりもおそらく3倍以上(!)の時間がかかっていますし、難しい単語などは文脈と勘(?)で読んでいるので、あまり効率的な読み方ではないかもしれません。けれども、日本の作品を読んでいる時とは、明らかに一味違う世界観に出会えるため、興味が尽きることはありません。

最近読んだ洋書『Lessons In Chemistry』はそんな本の一冊でした。1960年代のアメリカを舞台に、化学者のエリザベス・ゾットは完全男性社会の中で、様々なセクシュアルハラスメントと立ち向かっていきます。強固な女性差別が、学問の社会にあったことに気付かされます(日本の場合はもっと遅れていますが)。強制的に研究所を辞めさせられたエリザベスは、ひょんなことから料理番組のシェフをすることで生計を立てていくことになります。それもステレオタイプ的な料理番組ではなく、料理を化学的に説明しつつ、そして聴衆の「主婦」たちに自分らしく生きる知恵も添えて。

深い問いかけとともに、心温まる良質な作品です。(有明海のほとり便り no.326)